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執筆者の写真Sari Kaede

「アクティビティデザイン」ってなに?

ツイッターの内容の再掲になります。

会社の同期入社のひとたちから「NAD(Nikken Activity Design)のアクティビティデザインってなに?」という質問が多いのですが、もしかしたらアクティビティデザインっていう言葉が社会にもあまり認知されてないんじゃないかと思って改めてまとめてみました。これから論文を書いたり卒業設計をする学生さんは興味があれば研究テーマにしてみてください!


「アクティビティデザインってなに?」

よくある質問にお答えしたいと思います。なるべく専門用語を使わずに説明したかったので、少しだけ長文ですが面白いので最後まで読んでみてください!


建物には様々な種類があります。小学生と先生が集まって授業をする建物は「小学校」です。たくさんの本が一箇所に集められて誰でも自由に読むことができる建物は「図書館」です。ビジネスマンが集まって仕事をする建物は「オフィス」です。こういった【建物の種類】のことをビルディングタイプと呼びます。建築を設計するときはビルディングタイプを出発点にします。例えば、図書館であれば「ここの土地に図書館を作ってください」という依頼があります。それに対して、似た条件で設計された図書館の事例を参考にしながら設計を始めます。「図書館」というビルディングタイプが明確なので、本棚の寸法や書架の配置といった図書館の設計ノウハウをまとめた設計資料集成という資料を手引きにしながら図面を描くことができます。


ところで、「図書館」というのは「たくさんの本が一箇所に集められて誰でも自由に読むことができる建物」というビルディングタイプでした。本を読むことが目的であれば、必ずしも図書館である必要はありません。電車やカフェで本を読んでいる人もいます。カフェで本を読む人の中には、「図書館よりもカフェの方が落ち着いて本を読みやすい」という人もいるでしょう。このように、ビルディングタイプから設計を出発することで、最初から取りこぼしている建物の可能性があるかもしれません。


そこで、ビルディングタイプよりも手前の【アクティビティ】に着目して設計を出発させます。例えば、「小学校」ではなく「児童が学ぶ場」と言い換えてみます。「オフィス」は「集まって働く場」と言い換えられます。では、「図書館」というビルディングタイプはどのようなアクティビティに分解できるでしょうか。「新しい本と出会う場」と言い換える人もいれば、「集中して本を読む場」と言い換える人もいるでしょう。私であれば、「図書館」を「静かに勉強できる場」と言い換えます。このように、ひとつのビルディングタイプは複数のアクティビティに言い換えることができます。この言い換えの作業のことを【分解】と読んでいます。分解を行うと、これまで一括りにされていたビルディングタイプが、実際は多種多様なアクティビティで構成されていたことに気が付きます。


分解によって得られるアクティビティの優先順位は人によって異なります。静かに勉強できるのが図書館だと言う人もいれば、たくさんの本が蓄えられているのが図書館だと言う人もいるでしょう。あえて「図書館」というビルディングタイプから出発しないことで、静かに勉強できる場を作りたいのか、たくさんの本を蓄えられる場を作りたいのかを明確にすることができます。これがアクティビティデザインです。


アクティビティから設計を出発させることで、より的確にユーザーと場を近付けることができます。また、アクティビティデザインから出発することで、設計したものをより適切に事後評価することができます。


以上

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