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執筆者の写真Sari Kaede

シリーズ空間戦略02:空間戦略に関するふたつの系譜


02-1.まえがき


こんにちは、畑島楓です!

今回も引き続き、空間戦略について書いてみます。


今回は空間戦略の手法に関する既往の研究について、その起源と歴史をざっくりと紹介します。空間戦略にはふたつの系譜が存在します。これを仮に系譜A、系譜Bと呼ぶことにしましょう。系譜Aは「デザインストラテジー、デザインマネジメントにおける空間のデザイン」という系譜です。この系譜は歴史的には1880年代に発生して現代まで至ります。登場する建築家にはベーレンスやシュペーア、フラーなどがいます。系譜Bは「アーキテクチュアルマネジメントにおける戦略」という系譜です。これは1968年に発生してから現代にまでに 至ります。便宜上、系譜A,Bと呼んで書いていきます。

02-2.系譜A デザインストラテジーを定義したBest, KathrynGorb(2006)によると、戦略的にデザインを行うための手法や思考方法の研究はデザインマネジメントの領域でされてきたそうです。 次回以降のブログでは、建築のための戦略的デザインの研究について歴史的に整理していきます。先述したように、系譜Aでは1880年代から現代までの歴史を扱います。この系譜の研究者として有名なFarr(1965)は、系譜Aを「デザインマネジメント」の歴史としてまとめました。彼の歴史的なまとめ方を起源として、Farrを引用しながらデザインの研究を行う研究が現代までなされています。Farrや彼に続く研究者が調査対象としているのはプロダクト全般、特に工業製品を中心としたデザインでした。例えば、『Apple社のデザイン戦略』とか『ダイムラー社のデザインマネジメント』みたいな、コンピューターのデザインも自動車のデザインも分け隔てなく考える研究です。その中には、建築を対象に研究したようなものもありますが、建築を扱わない研究においても度々登場するのが20世紀の建築家の名前です。空間のデザインを手法化して、戦略的にデザインを行う建築家の仕事が参考にされています。そこで、系譜Aで扱われるような建築家たちの、戦略家(Design Strategist)としての側面を取り上げたいと思います。


02-2.系譜B

もうひとつの系譜である系譜Bは、Baden Hellard(1964)の定義したArchitecture Managementを引用しながらデザインの研究を行う系譜です。系譜Aでは建築に限らない幅広いデザイン対象(E.G.建築、自動車、電化製品)のためのデザインマネジメントが扱われ、その発展にペーター・ベーレンス、チャールズ・イームズ、バックミンスター・フラーといった建築家が関与しているとされていましたが、彼らの戦略家としての一面は、建築の通史の中では際立って珍しいものでもありました。一方で、系譜Bでは建築や都市のデザインのみを対象として研究がされており、建築の学会員や建築家たちが建築の戦略的なデザインについて研究してきました。建築以外のプロダクトのデザインを参考にしない(同時に、建築以外のプロダクトのデザインの参考にされない)という点で系譜Aと異なります。そう書くと系譜Bはクローズドな研究のように思われますが、それだけ求心的な議論もされてきました。



次回はFarr(1965)による系譜Aの歴史とBaden(1964)による系譜Bの歴史について書いてみたいと思います。 それじゃ、 またねっ!!

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